法定後見申立の具体的な手続きは?
家庭裁判所では、本人若しくは四親等内の親族から法定後見の申立が行われると書類の審査を行ないますが、まず、審判に必要な書類が揃っていることを確認し、揃っていると判断した場合、被後見人等(本人)、申立人及び後見人等候補者(申立書に候補者が記載されていれば)との面談を行います。
必要な書類とは概ね日本全国どの家庭裁判所であってもほぼ共通してはおりますが、一部提出する書類の内容が異なったり、申立時に必要な切手の種類及び枚数が異なる場合がありますので、必ず管轄の家庭裁判所に問い合わせるか、各ホームページから必要な書類をダウンロードして確認してください。
また、家庭裁判所に設置されている申立書類またはホームページに掲載されているファイルはあくまで参考資料ですので、必ずその書類を使用しなければいけないわけではありません。ご自分の書きやすいフォーマットを作成して、必要な内容を記載すればそれで十分です。
どんな申立書類と添付書類が必要なのか?
申立に必要な書類は以下の通りです。
- 後見・保佐・補助開始等申立書
- 代理行為目録(補佐・補助開始申立用)
- 同意行為目録(補助開始申立用)
- 本人情報シート
- 診断書
- 申立事情説明書
- 親族関係図
- 親族の意見書又は同意書
- 後見人等候補者事情説明書
- 財産目録
- 収支予定表
さいたま家庭裁判所に申立を行う場合は、以下のURLを参照してください。
申立に必要なファイルおよびサンプルが、WORD、Excel、またはPDF形式でアップされており、自由にダウンロード可能です。
https://www.courts.go.jp/saitama/saiban/tetuzuki/kouken/seinenkouken-hosa-hojo.html
また、その他添付する書類として以下の書類が必要です。
【役所から取り寄せるもの】
- 本人の戸籍事項全部証明書(戸籍謄本):発行後3カ月以内のもの、且つ、コピー不可
- 本人の戸籍の附票又は住民票(マイナンバーの記載のないもの):発行後3カ月以内のもの、且つ、コピー不可
- 申立人が親族の場合、本人と申立人の関係が分かる書類(戸籍謄本等)
- 後見人等候補者の戸籍の附票又は住民票(マイナンバーの記載のないもの):発行後3カ月以内のもの、且つ、コピー不可
- 本人の登記されていないことの証明書:発行後3カ月以内のもの、且つ、コピー不可
- 不動産についての資料(本人所有のものがあれば)
- 土地・建物登記事項証明書
- 固定資産税評価証明書:発行後3カ月以内のもの、且つ、コピー不可
又は最新の固定資産税納税通知書の評価額が書いてある頁のコピー
【その他の書類】
- 健康状態が分かる書類のコピー
- 精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳、療育手帳(みどりの手帳)、介護保険認定書又は介護保険証等
- 施設入居者の場合、施設で使用している本人情報シートのコピー等
- 収入についての資料(直近3カ月)のコピー
- 年金額決定通知書、確定申告書(添付資料を含む)、給与明細書、賃貸契約書等
- 上記資料がない場合、年金の引落額が分かる預貯金通帳のコピー
- 支出についての資料(直近3カ月)のコピー
- 施設や医療機関等の請求書及び領収書、納税通知書(請求書)、国民健康保険料・介護保険料の通知書等
- 預貯金通帳のコピー(ATM等で記帳してからコピー)
- 表紙、中表紙、過去1年分の取引が記載されているページの全て
- 生命保険、損害保険についての資料のコピー(契約者又は受取人が本人になっているもの)
- 保険証書、保険会社からの通知書等
- 負債についての資料のコピー(直近の残高がわかるもの):負債が本人にある場合のみ
- 返済明細書、返済予定表、金銭消費貸借契約書等
- 投資信託、株式等についての資料のコピー
- 証券会社からの通知書、残高証明書等
- 遺産に関する資料(本人が相続人になっている遺産分割未了の相続財産がある場合のみ)
- 相続財産目録、相続財産目録を証する資料のコピー、相続関係図(法定相続証明一覧図)、相続税申告書、遺産分割協議書等
【申し立てに必要な費用等】
- 申立手数料(収入印紙を申立書に貼付)
- 後見又は保佐開始申立:800円分一組
- 保佐又は補助開始申立+同意見又は代理権付与:1,600円分
- 保佐又は補助開始申立+同意見付与+代理権付与:2,400円分
- 登記手数料(収入印紙を申立書に添付):2,600円分一組
- 郵便切手(さいたま家庭裁判所の場合)
- 後見申立の場合
500円x6枚、84円x10枚、50円x5枚、10円x10枚、5円x10枚、2円x10枚、1円x10枚 (合計4,270円) - 保佐・補助申立の場合
500円x6枚、84円x20枚、50円x5枚、10円x10枚、5円x14枚、2円x15枚、1円x10枚 (合計5,140円)
- 後見申立の場合
- 鑑定費用(裁判所が鑑定を必要と判断した場合): 5万円~10万円
申立書類の作成と書類の収集はだれが行うのか?
申立書類の作成及び書類の収集は、基本的に申立人が中心となって行っていただくわけですが、申立人には恐らくできないであろうと考えられる下記書類については、適切な人に依頼する必要があります。
- 後見・保佐・補助開始申立書:申立人(本人、本人の4親等内の親族、任意後見受任者等)
- 本人情報シート:ケアマネージャーや介護担当者、地域包括支援センター及び社協等の担当者等
- 診断書:主治医若しくは介護認定時にご協力いただいた医師等
- 後見人等候補者事情説明書:後見人候補者
- 親族の意見書又は同意書:各相続人(相続人がいない場合、関係図に記載した親族)
- 親族関係図の作成及び親族であることを証明する戸籍謄本や住民票の収集:行政書士、司法所書士、弁護士等の士業又は申立人
その他の書類の作成を申立人が行うことが難しい場合はどうするか?
申立人の代わりに報酬を支払って申立書の書類の作成又は申請をお願いできるのは、弁護士又は司法書士となります。それ以外の人にお願いする場合は、無償になりますので、注意が必要です。但し、役所に支払う手数料や交通費等の実費は支払い可能です。
申立書の申請は申立人が行ないますが、申立に必要な書類の作成や書類収集に関するご相談、アドバイスが欲しい場合は、当事務所にお問い合わせください。