金銭消費貸借契約

金銭消費貸借契約とは、最も一般的な例では、貸主が借主にお金を貸して、借主が決められた期限までに借りたお金を返済するというものですが、以下に、その特徴を列挙します。

  • 原則的に貸主が借主に対して金銭を交付することによって成立します。これを、「要物契約」といいます。
  • 借主の弁済(金銭等の返済)義務だけが存在し、貸主の義務は存在しません。このような一方にしか義務のない契約を「片務契約」といいます。
  • 貸主、借主双方の意思表示のみで契約が成立します。これを諾成契約といいます。

まとめますと、金銭消費貸借契約は、「諾成片務要物契約」であり、必ず貸主の金銭交付が先にきて、その後借主の返済義務が生じますので、貸主と借主の義務の履行時期がずれることになります。ここが、売買契約のような双務契約と大きく異なるところです。

POINT

金銭消費貸借契約において最も重要なポイントは、いかにして借主の義務の履行を確保する仕組みを作るかということです。

以下に、いくつかその実例をあげて説明します。

期限の利益喪失の設定

金銭を貸すときに、通常返済時期を設定します。親族間であれば利子をつけない場合もあるでしょうが、一般的な取引で利息の設定を行わなかった場合は、個人間では、5%の法定利息が、企業間では年6%の法定利息が適用されます。

ところで、上記の利息は、期限までに貸した金銭を返却した場合に適用される利息であり、言い換えれば、期限ぎりぎりまでは、元本と決められた利息以上の支払が猶予されるということです。これを「期限の利益」と言います。

ところが、返済期限を過ぎても債務が履行されない場合には、債務全額の一括請求や担保などを設定している場合には担保権の実行、その他非常に高い利息の適用といったことが可能になります。

逆に言うと、借主が「期限の利益を喪失」した場合、どのような不利益を被るか、予め契約書に明記することにより、借主の債務の履行を促すという機能があります。

いずれにしても、「期限の利益喪失事項」は、金銭消費貸借契約には不可欠の条項となります。


連帯保証人の確保

借主の返済能力に問題がある場合や債務の額が担保を超える場合などに、貸主が借主に対して連帯保証人を付すことを契約の条件とする場合があります。

ここで気をつけなくてはいけないことに、金銭消費貸借契約そのものは、口約束だけでも契約が成立する諾成契約ですが、連帯保証人との契約は、契約書を交わさない限り成立しないということです。

貸主が期限までに債務を履行しなかった場合(「履行遅滞」といいます)、貸主は、借主ではなく連帯保証人に対して、直接、全額の返済を請求することができますので、借主の債務の履行確保には有効な手段となります。


抵当権の設定

借主が、土地や建物といった不動産を所有している場合には、その債務に見合った抵当権を借主の不動産に設定することにより、債務の履行を促します。

借主が期限までに債務の履行ができなかった場合には、貸主は担保権を実行して、換価することにより、貸した金銭を取り戻すことができます。

但し、貸した金銭の額に対し、抵当不動産の価値が大きすぎる場合、公序良俗違反となり、契約が無効となってしまう可能性がありますので、注意が必要です。


担保の設定

貸主が価値のある絵画や骨董などといった動産を所有している場合に、債務の履行が完了するまで貸主がそれらの動産を担保として、一時的に留置することをいいます。

借主が期限までに債務の履行ができなかった場合、貸主は、留置していた担保物件を所有するか、若しくは売買して換価することにより貸した金銭を取り戻すことになります。

注意すべき点としては、先の抵当権と同様に、担保物件の価値と貸した金銭の額に大きな差がないことです。差が大きい場合は、公序良俗違反で契約が無効となる可能性があります。

印紙税

金銭消費貸借契約書に係る印紙税は、印紙税額一覧表の第1号の3文書を参考にしてください。

記載金額税 額
1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1,000円
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1,000万円以下1万円
1,000万円を超え5,000万円以下2万円
5,000万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円



金銭消費貸借契約の例

金銭消費貸借契約といわれるものには、どのような契約があるのでしょうか?

代表的なものとして、以下のような契約があげられます。

金銭消費貸借契約書

貸主が借主にお金を貸して、借主が決められた期限までに借りたお金を返済する「諾成片務要物契約」です。

もっと詳しく

抵当権設定契約書

債務者の金銭債務を保証するために自身が所有する不動産に債権者のための抵当権を設定する契約です(物上保証も可能)。

もっと詳しく

根抵当権設定契約書

継続的な取引契約に基づくなど一定の範囲内で発生又は消滅を繰り返している不特定の債権を、極度額の範囲内で担保するために不動産に設定する契約です(物上保証も可能)。
もっと詳しく

債権質設定契約書

債務者の債務を保証するための担保権として、賃貸借に基づく保証金や敷金の返還請求権、生命保険や火災保険などの保険金請求権を担保に供するときに設定する契約です。
もっと詳しく

集合債権譲渡契約書

債務者の債務を保証するために、一定の範囲で現に存在し、又は将来発生する債権を集合的に譲渡して担保に供する場合の契約です。

もっと詳しく

リース契約書

企業が機械や設備を調達する際に、リース会社が企業の代わりにメーカーから物件を購入し、利息を付けて企業に貸し出す契約です。

もっと詳しく