貸借契約

貸借契約には、無償でなされるものと、有償でなされるものによって、契約の名称並びに契約内容が大きく異なります。

使用貸借契約

無償の貸借契約を「使用貸借契約」といい、借主が、貸主からあるものを受け取って、無償で使用及び収益した後、貸主に返還することを約する契約です。

無償とはいえ、借主は、使用するのに必要な経費は自分で負担することになります。

例えば、自動車の使用貸借契約を締結した時、ガソリン代や駐車場の費用は借主負担になります。

契約期間

期間の定めがある契約と定めがない契約では、以下のような違いがあります。

  • 契約期間の定めがある場合:期間満了時に借主は貸主に借りたものを返還する義務が生じます。
  • 契約期間の定めがない場合:契約に定めた目的に従い使用・収益が終わった段階で借主は借りたものを返還しなければなりません。

では、契約期間の定めがない場合、貸主は、借主が契約で定めた目的に従い使用・収益が終わるまで、待っていなければならないのでしょうか?

これについては、貸主は、借主が使用・収益するのに足りる期間を経過したとき、直ちに返還を請求することができます。借主は、無償で借りているのですから、有償で借りている場合よりも立場的に弱いというのが使用貸借契約の大きな特徴です。

賃貸借契約

有償の貸借契約を「賃貸借契約」といい、貸主が、ある目的物を借主に使用・収益させることを約し、借主は、その賃料を支払うことを約する契約です。

賃貸借契約は、当事者間の合意だけで契約の効力が生じる諾成契約になります。

賃貸借契約の主な特徴は、以下の通りです。

  • 貸主は、借主に目的物を引き渡すと同時に、使用収益させる義務を生じます。
  • 貸主は、特約がない限り、使用収益に必要な修繕義務を負います。
  • 借主が、目的物につき必要費や有益費を支出した場合、貸主は、借主に償還しなければなりません。
  • 借主は、契約終了時まで、善良な管理者としての注意をもって目的物を保管(これを、「善管注意義務」といいます。)し、契約終了時には目的物を貸主に返還しなければなりません。
  • 借主は、貸主に対し、賃料を支払うべき義務を負います。
  • 契約期間は、最長20年です。最短の定めはありませんので、20年以下の範囲で契約期間を自由に設定することが可能です。
  • 契約期間の定めがない場合、当事者の一方からいつでも契約を解約する意思表示をすることができます。但し、直ちに契約が終了するわけではありません。

賃貸借契約においては、金銭や動産はもちろんのこと、土地や建物といった不動産に関する賃貸借契約が最も身近な契約として知られています。

皆様も賃貸アパート・マンションに住む前に不動産会社を回った経験はおありでしょう。

指定した賃貸料の範囲内の物件を案内してもらい、間取りや最寄りの駅やバス停までの距離などの条件で気に入った物件が見つかれば、月額賃貸料、駐車場料金、その他礼金や敷金の有無や額、支払期日など詳細を確認して契約します。

普通、借主側が気にする部分は、主に金銭的な部分ですが、一番トラブルの元になるのは原状回復や解約条件などですので、貸主側は、契約書にしっかり記載するするのはもちろんですが、借主側にもしっかり理解してもらう必要があります。

同じ貸借契約であっても、不動産の場合、金銭消費貸借よりも借主を手厚く保護する規定がなされていますし、借主に有利は判例が多く見受けられますので、契約したからといって、契約書通りに物事が運ぶわけではありません。

法律に則って契約書を作成することはもちろんですが、判例を考慮した契約書の作成も考える必要がありますし、債務不履行などの問題が生じたときに、すぐに契約書に沿って強引に行動を起こしたりしないよう貸主の方は気を付けてください。

借地借家法と民法

不動産の賃貸借契約では、民法の規定によると貸主側と借主側は対等の立場で契約することになりますが、現実的には貸主側の方が借主側よりも遥かに強い立場にあるというのが一般的ですので、弱い立場にいる借主を保護して、現実的に貸主と対等の立場に近づけようとして規定されたのが借地借家法です。

ちょうど、消費者契約と同じようなもので、基本的に不動産に関する契約を行う場合、基本とすべき法律は、まず第一に借地借家法であり、そこにない場合は、民法を適用することになります。

転貸契約

建物の賃貸借契約をした後、よく発生するのが転貸借契約です。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、俗に「また貸し」といったりします。

借主は、当然貸主の承諾なしで勝手にまた貸しすることはできません。賃貸借契約に借主がしっかり明記されております(通常は契約者)ので、勝手に貸してしまうのは契約違反になりますので、契約解除といわれても文句は言えません。

以下は、転貸契約締結までの流れです。

1.借主:賃貸借契約書の転貸契約についての内容を確認

通常、地貸借契約書の中にも転貸する場合の条件が記載されているはずですので、借主はまず、その契約内容を確認しなければなりません。

契約書に転貸不可となっている場合もあるでしょうし、転貸する場合は、貸主の承諾を得ることというのが一般的です。

2.借主:管理不動産会社に連絡

転貸借に関する記述が契約書にない場合もありますので、ますは、不動産会社に連絡をいれ、その指示を仰ぐ方がいいでしょう。

3.借主及び転借人:転貸承諾書の作成

不動産会社より、転貸承諾書の準備をするように指示があったら、借主は、以下のような書類を作成しなければなりません。転借人が作成するわけではありません。

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4.貸主、借主及び転借人:貸主と転借人の面談及び貸主による転貸承諾書に記名押印

転貸を貸主が承諾するかどうかは貸主側の裁量に委ねることになりますので、必ずしも承諾してもらえるとは限りません。職業や立居振舞などで承諾してもらえないこともあります。反社会的勢に属している人であれば、最初に交わした賃貸契約書にその記述があるはずですし、なくても拒絶することはできます。

5.借主及び転借人:転貸借契約書の作成及び契約締結

転貸承諾が貸主より得られたら、借主と転借人との間で転貸借契約を交わす必要があります。友人、知人同士であっても、思い違いやコミュニケーション不足によるトラブルもよくあることですので、忘れずに契約を交わしてください。


契約解除

契約解除の条件は、契約書に定められておりますが、解除事由に該当したからといって、借主や転借人が即座に部屋を明け渡さなければいけないかというと、そういうわけではありません。

はじめから賃貸料金の支払いを怠り、且つ何度催告しても支払わないような悪質な場合は別として、通常明け渡しまでは6ヶ月の猶予期間が設けられることは普通です。
猶予期間とはいっても、その間の賃料は発生しますので、当然支払わなくてはいけません。

借主と貸主との信頼関係が大きく影響しますので、契約書に記載されていることが全てではないということを肝に銘じて対応する必要があります。

代表的な事例

  • 建物賃貸借契約
  • 定期建物賃貸借契約
  • 定期借地権設定契約
  • 動産賃貸借契約

主契約締結後の変更、更改契約等