成年後見相談室(Guardians of Adult Q&A)

1 成年後見制度ってどんな制度?

 成年後見制度というのは、高齢や認知症などで、判断力が衰えた人や足腰等身体が不自由になった人等を支援するために設けられた制度で、支援される人を成年被後見人等(以下、「本人」といいます)、支援する人を成年後見人等といいます。

 この制度を利用すると、成年後見人等が本人の代わりに本人の財産管理を行ったり、役所や年金等の手続き、介護施設や病院等への入所・入院手続等を行ってくれますので、本人の家族が遠方にいても、身寄りがない場合でも安心です。

法律で定められた制度ですので、日本人は勿論のこと、日本に住所を有する外国人であっても安心して利用することができる制度です。

2 成年後見人等の主な仕事にはどんなものがあるんですか?

 
本人に代わって法律行為や身上監護、財産管理を行います。

成年後見制度

法律行為とは、意思能力によって一定の法律効果を生じさせる行為で、その行為によって、本人及び相手方に義務と権利が生じたり、消滅したりすることをいいます。

身上監護とは、介護認定の手続きや、病院の入院手続や施設への入居手続き、役所への移転手続き等を本人に代わって行うことをいいます。

財産管理とは、預貯金の管理、保険金の申請、年金の手続き、有価証券等の管理、不動産や動産の売却、購入等、本人に代わって手続きを行ったり、財産の管理を行うことを指します。


3 成年後見制度は、判断力が衰えた人や身体が不自由な人以外は利用できないのですか?

そんなことはありません。
まず、成年後見制度は、以下のように「判断力があるか、ないか」という基準によって2種類に分かれます。

法定後見制度 ・・・ 判断力がない場合にのみ利用できる制度
任意後見制度 ・・・ 判断力がある場合にのみ利用できる制度

では、知的障害者や精神障害者、事故などで肢体不自由になった障害者はどちらを利用できるのかという問題があります。

問題は、社会人として一般的な判断力が備わっているかどうかが問題であり、法定後見制度を利用する場合、最終的には家庭裁判所が判断します。勿論、医師の診断が決め手になる可能性はありますが、医師の診断を待つまでもなく、決まってしまう可能性はあります。

一方、任意後見制度を利用する場合は、あくまでも契約能力があるかどうかであり、公正証書にする段階で最終的に決まります。つまり、公証人役場の公証人が本人に判断力があると判断すれば、任意後見制度を利用することができますし、判断力がないと判断すれば、法定後見制度を選択する以外にありません。

ここに大きな問題があります。

公証人全員が障害に対する知識を十分持ち合わせているかというと、そうではありません。例えば、脳性麻痺の人は、外観上肢体不自由であっても、知的レベルや判断力は健常者と全く同レベルの人も少なくありません。しかしながら、言葉を正確に発することができないため、公証人が理解できないという理由だけで判断力がないと判断されてしまう場合があります。

本人の意思をわかりやすく伝えることができる人が横にいればいいのですが、そうでなければ、意思疎通がうまくいかないために公正証書にすることができないということが起こるわけです。また、文字を入力することができない人もおりますので、この場合は、予め公証人にその旨を伝えておく必要があります。


4 では、どんな状態になったときに成年後見制度を検討すればいいのですか?

 以下にいくつか事例を挙げて説明しましょう。

①今はまだ元気ではあるが、高齢なので将来が不安な独居老人若しくは高齢夫婦

 歳を取ってくると足腰が弱くなったり、自動車の免許を返上したりして、外出が若い時のように思うようにいかなくなります。

買い物などは、介護認定を受けて要介護の認定を受ければホームヘルパーに依頼したり、料理などは宅配サービスを利用するなどの手段がありますが、市役所や年金の手続き、銀行の入出金といった重要なことはヘルパーに頼むことはできませんし、頼んでも引き受けてもらえません。

また、本人が認知症になった場合は、本人が指示を出すこともできなくなりますので、本人のために財産の管理や役所の手続き、病気になったときの入院手続等を本人に代わって誰かにやってもらわないといけなくなります。

近所に本人の家族や兄弟といった親族が住んでいれば、何かと世話をしてくれる可能性はありますが、現在のように核家族化が進んだ日本では難しいのが現状です。
そこで、成年後見制度を利用することでこの問題を解決することができるわけです。