一般社団法人の定款作成

一般社団法人の設立手続きの大まかな流れは、以下の通りです。

設立手続き

ご覧のとおり、主務官庁の承認を得る必要がなくなりましたので、株式会社と手続き上はほとんど同じ手順となります。寧ろ、資本金の払い込みがない分、簡単かもしれません。


一般社団法人の定款は、株式会社同様、法人の憲法ともいうべき基本となる決まりごとを規定した文書ですので、非常に重要なものです。

従って、定款に記載した事項に変更が生じた場合、社員総会に図り、出席社員総数の3分の2の議決が必要となります。更に、登記事項を変更する場合には、登記手数料もその都度かかりますので、十分時間をかけてもかまいませんので、納得いくものにすべきです。

定款には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項がありますので、その各々について、どこに注意して作成していくべきなのかを理解しておく必要があります。

絶対的記載事項

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、「一般法人法」という)第11条第1項に規定されておりますが、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければなりません。  

名 称

法人の名称及び商号については、以下の決まりごとがあります。

  • 法人の名称中に「一般社団法人」という文字を使用しなければなりません。
  • 一般社団法人でないものが、その名称中に一般社団法人又は一般財団法人と誤認される恐れのある文字を使用してはなりません。
  • 不正の目的をもって他の一般社団法人又は一般財団法人であると誤認されるような名称又は商号は使用できません。
  • 主たる事務所と同一の場所に登記されている他の一般社団法人と同一の名称は使用できません。

目 的

法律上の制限はありませんので、公序良俗違反にならないような事業であれば自由に決めることが可能です。

但し、共益活動型一般社団法人を目指して、税金の優遇処置を受けたい場合には、事業目的が制限されることがあります。この場合の要件につきましては、「収益事業課税について」を参照してください。

主たる事務所の所在地

全事業を総括する事務所の最小行政区画(市区町村)まで記載すれば足りる。また、地番まで記載した場合、同一最小行政区域内での移転の都度、定款変更が必要となります。

定款に地番までの記載がない場合、登記申請までに、設立時社員において地番を決定し、登記申請書にその議事録を添付しなければなりません。

設立時社員の氏名又は名称及び住所

設立時社員を特定するために、その氏名及び住所を記載します。また、法人の場合は、その名称を記載します。


社員の資格の得喪に関する規定

社員となるための資格、退社の事由、入退社の手続きなどを記載する。

公告方法

 以下の4つの方法から選択しなければならない。

  • 官報に掲載する。
  • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する。
  • 電子広告。
  • 主たる事務所の公衆の見やすいところに掲示する。

事業年度

一般社団法人は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表及び損益計算書)及び事業報告並びにこれらの付属明細書を作成しなければならないため、その基礎となる事業年度が必要となります。通常、月初に始まり1年後の月末までを事業年度と定めます。

以下は、絶対的記載事項と登記事項との関係を表した表になります。

定款の絶対的記載事項登記事項
目 的
名 称
主たる事務所の所在地
設立時社員の氏名又は名称及び住所
社員の資格の得喪に関する規定
広告方法
事業年度


相対的記載事項

相対的記載事項は、定款に記載しなくても定款自体無効になることはありませんが、定款に定めておかないとその効力が否定される事項です。

以下は、相対的記載事項と登記事項との関係を表した表になります。


登記事項であるもの
1社員総会以外の機関(理事会、監事、会計監査人)の設置
2理事等の損害賠償責任の免除に関する定款の定め
3外部役員等の責任限定契約
4存続期間・解散の事由
登記事項とは関係がないもの
1設立時役員等の選任方法
2設立時役員等の解任方法
3経費の負担
4任意退社事由
5強制退社事由
6社員総会の権限
7社員による社員総会招集の請求
8社員による社員総会招集
9社員総会招集の通知
10社員による議題提案件
11社員による議題提案権
12社員による議案提案の書面掲載請求
13社員総会の招集手続きに関する検査役の選任
14議決権の数
15社員総会の定足数、決議要件
16社員総会の特別決議の要件
17理事の任期
18監事の任期
19理事の業務の執行
20代表理事の選任
21業務の執行に関する検査役の選任
22理事の報酬
23理事会設置一般社団法人の理事の権限
24理事会招集権者
25招集手続き
26理事会の決議
27理事会の議事録の署名
28理事会の決議の省略
29監事が1名の場合の報酬等
30監事が複数名の場合の報酬等
31理事会の損害賠償責任の免除に関する定款の定め
32会計記帳の閲覧等の請求
33基金
34残余財産の帰属
35解散の訴え
36役員等の解任の訴え
37書面表決の期限
38代理人による議決権行使の方法
39補欠役員等の選任決議の効力を有する期間


任意的記載事項

任意的記載事項は、強行規定や公序良俗に反しない限り、記載してもしなくてもどちらでもよい事項ですが、記載することにより明確になるという利点があります。
しかしながら、一度規定してしまうと変更するには社員総会の特別決議が必要になるため、注意が必要です。

定款で定めても効力を有しないもの

以下の事項は、定款で定めても一般法人法の規定に反するため、効力を有しないとされています。

  • 社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨
  • 社員総会の決議を必要とする事項について、理事、理事会その他の社員総会以外の機関が決定できることを内容とする定款の定め
  • 社員総会において決議する事項の全部につき社員が議決権を行使することが出来ない旨の定款の定め

定款認証

定款は、公証人の認証によって効力が生じるとされているため、設立時社員は、作成した定款について公証役場において公証人の認証を受けなければなりません。
これは、定款の定めをめぐって後日紛争が起きないように予防する効果があります。

尚、定款は、電磁的記録で作成することが現在一般的ですが、そのためには、別途公的個人認証サービスを利用した電子証明の取得やWord形式の定款をPDFファイルに変換するソフトウェアの購入などの費用と手間がかかりますので、頻繁に利用しない限り、当行政書士事務所等に依頼することを検討したほうがいいでしょう。
 
ところで、一般法人は非営利事業であるため、営利法人に課せられている定款の印紙代4万円は不要となります

設立時役員等の選任

定款で設立時役員等を定めなかったときは、設立時社員は定款認証後遅滞なく設立時役員等を選任しなければなりません。

設立時代表理事の選定については、理事会設置一般社団法人の場合、設立理事の1人1票による多数決で設立理事の中から選定することが義務付けられています。

一方、理事会非設置一般社団法人の場合は、設立時代表理事の選定は義務付けられていませんので、設立時代表理事を選定しないときは、法人成立後は、理事全員が各自法人を代表することになりますので、登記上理事全員が代表理事として登記されることになります。

設立時代表理事の選定方法は、以下のような方法で選定可能と解されています。

  • 定款に直接設立時代表理事を定める方法
  • 定款の定めに基づき設立時理事の互選により選定する方法
  • 定款に設立時代表理事に関する定めがない場合、設立時社員の議決権の過半数により選定する方法

設立手続きの調査

設立時社員により、定款の作成、認証、主たる事務所の確保(契約等)の設立手続きを行うことになるが、設立時理事及び設立時監事は、選任後遅滞なく設立の手続きが法令または定款に違反していないことを調査しなければなりません。

尚、調査報告書は、設立登記の添付書類となっておりませんが、「調査報告終了日」若しくは「設立時社員が決めた日」のいづれか遅い日から2週間以内に登記をしなければなりません。


一般社団法人の登記手続

一般社団法人の登記手続自体、申請書の文言や登録免許税の額の違い、その他資本金の払込の手続きが不要な部分を除けば、株式会社と基本的に同じです。

従いまして、「株式会社設立」の「開業までの8Step」を参照してください。

また、会社設立セルフパックのご利用も可能です。