金銭預託契約

委託者がものの保管をお願いし、受託者が承諾して成立する契約を寄託契約といいますが、原則、保管したものを契約期間満了若しくはある一定の条件を満たしたときに返還します。

一方、味噌や醤油といった消費財をちょっと借りて、後で同じ種類、品質、数量のものを返還することも寄託契約の一種ですが、これを特に消費寄託契約といい、保管するのではなく消費してしまったので、代わりに同レベルのものを返還するところが前者と違います。
このように保管を委託したものを返還するのではなく、代わりに同レベルのものを返還する典型的な例が、現行預金です。

また、金銭やものを一時的に誰かに預けることを預託とも言います。
特に委託者が金銭をある一定の条件の基で預け、受託者が承諾した契約を預託契約といいます。

この預託契約では、単に保管するだけでなく、委託者の代わりに受託者が預託した金銭を消費することを認め、最終的な残りの処分についても契約で取り決めることが可能です。

例えば、委託者が病院などに長期入院したときに、いろいろな支払いを第三者や家族に依頼することがあります。これも、預託契約の一つの例です。

この場合、委託者が退院した時点で契約終了となりますので、契約終了時、残金を委託者に返還することが一般的ですが、場合によっては、帰らぬ人になることもあります。
この場合でも、契約にその旨記載して、残金を相続人誰それに返還すると記載しておけば、まさかのときでもスムーズに処理することが可能となります。
但し、その旨を相続人に予め知らせておくか、遺言書に明記しておかないと、預託したこと自体が受託者しかしらないことになり、返還しないことに誰も気が付かないということになりかねません。

このように、親族や第三者と預託契約を締結し、ある一定条件の基、預託金の使途をお願いする預託契約は、核家族化が進み、一人で生活している人にとっては、有意義な契約形態であると考えられます。

以下は、委託者が老人ホームに入居したり、死亡して相続が発生したときを想定した預託契約についての一例です。

施設入居や相続を前提とした預託契約

相続が発生すると、委託者は被相続人となり、受託者が親族(血族で相続権がある場合)の場合、相続人となり、受託者は、契約で決められた事項に対し、預託金の中から支払いを済ませます。

例えば、契約の中に、相続が発生したときに、葬儀費用、お返し、家賃などの債務の履行に充てるといった事項を記載しておくわけです。

また、相続だけでなく、一人での生活が難しくなった場合等、老人ホームや介護施設に入居することも考えられますので、そういった場合の費用を委託者からの申し出があれば預託金から支出する旨記載しておけば、委託者は、そうぜざるを得ません。

契約期間の終了に関しては、預託金が完全になくなるか、若しくは、相続発生によって、預託金が相続財産の一部に組み込まれた時点ということにしておけば、税務上の問題もないはずです。

また、相続発生により、被相続人の預金口座が閉鎖されても、預託金が手元にありますので慌てる心配はありませんので、非常に使い勝手の良い契約形態になります。

公正証書にする必要があるかどうか、よく問い合わせがりますが、基本的に必要ありません。どうしても、履行してくれるか心配なばあいには、検討してみて下さい。

他にも信託契約など、もっと複雑な契約形態もありますが、時間も費用もはるかにかかることを予めご承知おきください。当然、信託契約の方が、より長期的、かつ、関係する人も多くなる傾向があります。

それから、契約書に貼る印紙ですが、両当事者が各200円の印紙を貼るだけで済みます。