消費者問題

クーリングオフという言葉はよく耳にしますが、通信販売や訪問販売などで契約されたことがある人なら、相手方(業者)からこの説明を受けるケースが多いと思います。

しかしながら、説明を受けたからといって、クーリングオフの制度についてよく分からないので使ったことがないとか、クーリングオフの制度を利用したいと思っていても、以下のような理由で、その期間が過ぎてしまって使えないと諦めてはいませんか?

[check] 脅迫されて、なくなく契約書にサインしてしまったが、怖くて解約の申し入れができなかった。

[check] 購入した商品やサービスが説明と違う。

[check] 業者(担当者)がつかまらない。

[check] だまされたと気づいた時は、クーリングオフの期間が過ぎてしまっていた。

[check] 解約を申し入れようと思って連絡したら、脅されてしまった。

他にもいろいろな理由で解約できなかったケースもあるでしょうが、解約する場合、クーリングオフだけがその手段ではありません。クーリングオフは、数ある解約条件の中の一つに過ぎません。

クーリングオフは、「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」で規定された制度で、もっと幅広く消費者の取引を規定した「消費者契約法」の特別法に当たります。
従いまして、特定商取引法の規定では解約できない場合であっても、以下のような場合には、「消費者契約法」や「民法」によって解約することが可能になります。

勧誘に際し不当な行為がなされた場合の契約の取消し

勧誘に際し企業が不当な行為を行った場合、消費者は契約を取り消すことが可能です。その不当な行為に該当する代表的な場合をを以下に列挙します。

[check] 不実の告知: 事実と異なることを告げて契約の締結を勧誘した場合

[check] 断定的判断の提供: 契約の目的となるものについて、価格や消費者が受け取れる金額など、将来の変動が不確実な事項について、「●●円になることは間違いありません」などと断定的な判断を提供して契約の締結を勧誘した場合

[check] 不利益事実の不告知: 商品やサービスなどの内容や質、取引条件などについて、消費者の不利益になるような事実を故意に告げないで契約を勧誘した場合

[check] 不退去: 契約締結に際し、その場から退去して欲しいとの意思を消費者から示されたにもかかわらず、業者が退去せずに勧誘した場合

[check] 退去妨害: 契約締結の勧誘がなされている場所から消費者が退去したいとの意思表示を示したにもかかわらず、その場所から消費者を退去させないで契約を締結させた場合

上記に掲げた不当な行為に一つでも該当するような行為により契約が締結された場合、個人消費者は、このような行為により契約を締結させられたことを知った時から6ヶ月、あるいは契約を締結した時から5年間は取り消すことが可能です。

従いまして、企業側としても契約がとれ、クーリングオフ期間が過ぎたからといって、最長契約から5年間は契約を取り消される可能性がありますので安心できません。そもそもこういう不当な手段を使って契約をとっても、いずれ社会から相手にされなくなりますので、決してこういう行為をするべきではありません。

また、消費者としても、クーリングオフが絶対的なものではないということを知り、契約取消しの際、ご自身で対応できない場合は、消費者庁に連絡するなり、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。もちろん、当事務所でも取り扱っております。

不当契約条項の無効

企業が消費者と契約を締結する場合の契約書内容が、以下のような条件に該当する場合には契約の全部若しくは一部が無効となりますので、注意が必要です。

  • 契約上の義務を怠った場合(債務不履行)、故意や過失に基づいて他人の利益や利益を侵害した場合(不法行為)、あるいは事業者の販売した商品に瑕疵(欠陥)があったことにより、消費者に損害が生じた場合の損害賠償責任(瑕疵担保責任)を全部免除する条項は無効となります。
  • 故意や重大な不注意により、契約上の義務に違反したり、他人の権利や利益を侵害した場合の損害賠償については、一部の免除でも無効になります。
  • 契約の解除の際に消費者の支払うべき賠償金や違約金を高額に定める条項
  • 民法その他の任意規定に比べて、消費者の権利を制限したり義務を加重する条項であったり、信義誠実の原則の反したり、消費者の利益を一方的に害する条項

消費者においては、これらの不当な内容が契約書に記載されていても、法律上無効となりますので、相手側(業者)の債務不履行や不法行為により消費者に損害が生じた場合、損害賠償請求が可能ですし、解約により不当に高額な違約金を請求されても支払う必要はありません。

このような場合には、当事務所が、消費者に代わって、損害賠償や解約による返戻金の請求などを記載した内容証明郵便や督促状の作成を行ないます。まずは、一人で悩まないで、当事務所にご相談ください。

企業側の対策としては、企業の一方的な利益になるような内容かどうか厳しくチェックされることを前提に契約書を作成しておくことをお勧めします。場合によっては、メディアによって、コンプライアンスに問題のある企業として取り上げられ、最悪、倒産や営業譲渡などの社会的な制裁を受けることを覚悟しなければなりません。



「特定継続的役務提供」に対する規制について



特定継続的役務提供というのは、事業者が学習塾やエステティックサロン、結婚相手紹介サービスなど長期的なサービスを継続的に提供する行為を指しますが、契約を締結する場合、相手方には、契約の締結前、締結後に当該契約の概要を記載した書面を渡さなくてはいけません。

契約の締結前

1. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
2. 役務の内容
3. 購入が必要な商品がある場合にはその商品名、種類、数量
4. 役務の対価(権利の販売価格)そのほか支払わなければならない金銭の概算額
5. 上記の金銭の支払い時期、方法
6. 役務の提供期間
7. クーリング・オフに関する事項
8. 中途解約に関する事項
9. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
10. 前受金の保全に関する事項
11. 特約があるときには、その内容

契約の締結後

1. 役務(権利)の内容、購入が必要な商品がある場合にはその商品名
2. 役務の対価(権利の販売価格)そのほか支払わなければならない金銭の額
3. 上記の金銭の支払い時期、方法
4. 役務の提供期間
5. クーリング・オフに関する事項
6. 中途解約に関する事項
7. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
8. 契約の締結を担当した者の氏名
9. 契約の締結の年月日
10. 購入が必要な商品がある場合には、その種類、数量
11. 割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
12. 前受金の保全措置の有無、その内容
13. 購入が必要な商品がある場合には、その商品を販売する業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
14. 特約があるときには、その内容

結婚相手紹介サービスのクーリングオフ

 結婚相手紹介サービスを締結した場合、クーリングオフはできないのではないかと思われる方も多いと思いますが、そんなことはありません。
もちろん特定継続的役務提供に該当しますので、契約締結日を含めて8日間の間に書面によって相手方に契約の解除を通知すれば、契約を解除することができます。

 結婚相手紹介サービスの場合、サービス提供と契約者個人との間の契約書には、クーリングオフについての書面の書き方、通知の方法がしっかり記載されておりますので、契約書の内容をよく確認してください。

よく代表者に通知するように記載された書物やネットでの書き込みがありますが、契約書に記載された宛先に通知するようにしてください。代表者宛に送付するのは、契約書の書面にあて先が具体的に明記されていないときであり、契約書の内容を優先する必要があります。

 また、結婚相手紹介サービスの場合、料金を現金でお支払いすることはまずないと思いますので、クレジット会社と別途支払いに関する契約を締結することになります。この場合も、サービス提供者との契約と同様に、契約書の中にクーリングオフに関する詳細な記載が必ずあります。

 どちらにしても、契約を締結する場合、ハガキなどでクーリングオフをする場合の具体的な記述があるかないかをしっかり確認する必要がありますし、相手方の担当者から口頭で説明を受ける必要もあります。書面の内容が分かりにくい場合や具体性に欠けると思った場合は、契約をやめるのも選択肢の一つだと考えられます。

クーリングオフ通知の注意事項

  • 書面での通知
     クーリングオフは、口頭でも可能といわれても、期限を過ぎてから「そんな話聞いてないわ。」なんて言われる可能性がありますので、必ず書面にて通知してください。

クーリングオフ(はがき)

  • 送付先は、サービス提供会社とクレジット会社の2者
     書面は、ハガキで十分ですが、結婚相手紹介サービスを提供する企業とクレジット会社宛にそれぞれ送付する必要があります。
  • 送付した証拠を残す
     郵便を送った日付が証拠として残るように、特定記録郵便か簡易書留のどちらかで送付してください。郵便局の窓口で受領された日付が送信日となりますので、相手方に到着した日がクーリングオフの期限を過ぎていたとしても問題ありません。
     特定記録郵便と簡易書留のどちらがいいかというと、平日であれば、相手の会社の従業員が受け取ることになると思われますので簡易書留をお勧めしています。特定記録郵便は、普通郵便と同じく郵便受けに入れるだけで、確実に受けとったかどうかの証拠は残りませんから。
     それから、送付したハガキの裏表のコピーも忘れないようにしてください。トラブルになったとき、どんな内容のハガキを送ったのか、が問題なる場合がありますので、正式にクーリングオフが受理されたという通知が両者から来るまでは大切に保管してください。
  • 役務名の記載に気をつける
     クレジット会社とサービス提供会社では、同じサービスであっても異なる役務名が記載されているケースがあります。これは、クレジット会社とサービス提供会社間での契約の中で用いられる役務名が消費者に提供されるものとは異なるからだと考えられます。従って、クレジット会社に送る通知には、契約書に記載された役務名をそのまま記載するようにしてください。
     一方、サービス提供会社の役務名も契約書をみてもよくわからない場合があります。クレジット会社のように役務名をはっきり明記していればいいのですが、必ずしもそうではありません。契約書を読んでいくといろいろなレベルのサービスについて詳述されておりますが、サービス全体の名称が見当たりません。こういうときは、契約書のタイトルをみてください。xxx契約書と書いていた場合には、xxxが役務名と考えて通知書に記載すれば受け取った方も理解してくれると思います。
  • 販売会社名に気をつける
     販売会社名ですが、サービス提供会社と代理店などの販売会社のどちらを記載すればいいのか具体的に明記されていない場合があります。こういう場合は、面倒ですが、両者を記載するのが間違いのないやりかたです。分からないからといって契約担当者に連絡をしてしまうと、思わぬ引き留めにあってしまうことになりかねません。



「訪問購入」について


特定商取引法に基づく訪問購入規制(2013年2月21日より施行)について

訪問購入は、個人宅を訪問して物品の売買契約を行う点で、訪問販売と基本的に差異がないことから、行為規制は訪問販売にならって定められました。一方で、訪問購入特有の事情に対応できるよう、独自の規制も設けられています。

「訪問購入」の章を新設

特定商取引法は、トラブルになりやすい6形態の取引(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、マルチ商法、特定継続的役務提供契約、業務提供誘引販売契約)と、ネガティブオプション(送りつけ商法)を規制対象にしています。

しかしながら、ネガティブオプション(送りつけ商法)は、消費者の意向を無視して一方的に送りつけてくるものなので、法律上は「取引」とは分類されません。

今回の改正では、上記6形態に「訪問購入」という新たな1形態を加える形になっています。

法的措置を講ずる対象物品

原則としてすべての物品が対象とされました。
ただし、売り主の利益を損なう恐れがないと認められる物品、流通が著しく害される恐れがあると認められる物品については、政令で指定し規制対象外となります。

購入業者による不当な行為の規制

購入業者は勧誘に際し、相手方に対し、事業者名や勧誘する目的である旨、物品の種類を明示的に説明しなければなりません。

また、勧誘を受ける意思を確認する義務が課せられ、契約を締結しない意思を示した者への再勧誘が禁止されます。

勧誘や解約妨害、物品の引渡しのための虚偽説明(=不実告知)や事実不告知、威迫行為や相手方を困惑させる行為は、もちろん禁止されます。

ここまでは、訪問販売の規定と同様です。

訪問購入特有の規定として盛り込まれたのが、「不招請勧誘の禁止」規定です。

不招請勧誘とは、取引を希望しない消費者に対する勧誘のことです。消費者の側が「○○を売りたいが査定してほしい」などの取引の意思を表示して業者を招請したなら別ですが、そうでない勧誘行為が禁止されました。

なお、「○○を売りたい」と業者を招請した場合でも、業者が△△の物品の売買を勧誘し消費者が希望しなかったなら、△△については不招請勧誘に該当します。

クーリングオフ

訪問販売の規定と同様に、契約書面交付の日から8日間は、売主(消費者)は売買契約の申込みの撤回、解除ができます。
さらに、訪問購入特有の規定として、以下2点が定められました。

(1)物品の引渡しの拒絶
クーリングオフ期間中、売主(消費者)は、物品の引渡しを拒絶し、売主の手元に置いておくことが可能だと定められました。

クーリングオフにより、売主が物品を確保するためには、期間中は物品を売主の手元に置いておくことが肝要であるため、この規定が設けられました。

(2)第三者に対する物品の所有権の対抗
売主(消費者)が購入業者に物品を引き渡し、購入業者が第三者に転売等で引き渡してしまったケースが想定されます。

その場合、一部例外はありますが、クーリングオフ期間中であれば、売主は第三者に対して所有権を主張することが可能であると定められました。

書面の交付義務

購入業者は、物品の種類や数量、購入価格、クーリングオフに関する事項など、法令で定められた事項を正しく記載した書面を、売主(消費者)に交付する義務があります。これも訪問販売と同様です。

訪問購入特有の規定として、前述の「物品の引渡しの拒絶」に関する事項等を記載するよう盛り込まれました。

通知・告知義務

クーリングオフ期間内に第三者に物品を引き渡した場合、売主(消費者)の求めの有無にかかわらず、そのことについての情報を売主に通知するよう、購入業者に義務づけられました(売主への通知義務)。

その場合、物品がクーリングオフされたあるいはされ得ることを第三者に通知する義務が、購入業者に課せられました(第三者への通知義務)。

購入業者は物品の引渡しを受ける際、売主に対し、物品の引渡しを拒絶する権利があることを告知する義務が課せられました(引渡し拒絶に関する告知義務)。

これらはいずれも、訪問購入特有の規定です。

法定書面に記載する事項

訪問販売の際の、特定商取引法対応契約書面については、以下のような内容を明示しなければなりません。

(1)事業者名等 事業者の氏名・名称・住所・電話番号・法人代表者名
(2)担当者名 契約の申込み・締結を担当した者の氏名
(3)商品名等
(4)型式・種類
(5)数量
(6)販売価格
 商品・権利の代金、役務の対価。複数の商品などがある場合は代金の内訳
(7)支払時期・方法
 持参・集金・振込み、現金・クレジット等の別、分割の場合は各回の明細
(8)商品の引渡時期
 具体的に特定できる日(◯月◯日のような表示)が必要
(9)クーリング・オフ
 書面受領から8日間はクーリングオフできることを赤枠・赤字・8ポイント以上の活字で記載
(10)契約日 契約の申込み・締結の年月日
(11)瑕疵担保責任(任意的記載事項)
 消費者に不利な特約を定めてはならない
(12)契約解除事項(任意的記載事項)
 消費者に不利な特約を定めてはならない
(13)その他特約(任意的記載事項)
 消費者に不利な特約を定めてはならない